XK System Japan 浪花ライブ 続き

前回のエントリーの続きです。

●デモンストレーション
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河合さんのデモンストレーションは人を惹き付けるMCと
的確な選曲で、短い時間ながらとても充実した内容でした。
13時からと15時からのそれぞれのセットが終わった後、次々にやってくる人の
質問に丁寧にこたえておられたり、女性ファンの握手やサインに
笑顔でこたえておられたりと全く休憩する暇がありませんでした。
いやいや河合さん本当にいい人です♪。
MC242.jpg
私も申し訳ないなと思いながら質問したり試奏させて
いただいたりしてましたが…。
しかしそのおかげで今までよく分からなかったことが
解決したり、発売前のXLK-3を試奏することができました。

今回のイベントで得られた情報をご紹介します。
●10列メカニカル多列接点鍵盤
 (mechanical multi-contact system)
multicontact.jpg
まずはじめに、
私は多列接点鍵盤については何となくの知識しか持ってなくて、
弾いた経験もありませんでしたが、今回のイベントで河合さんから
説明を受けて、これはハモンドオルガンを弾くということにおいて
必要不可欠な部分ではないのかと考えるようになりました。
多列接点鍵盤では、鍵盤をゆっくりと押し下げていくと
引き出されているドローバーの音の高いほうから順番に音が鳴って
次々に低いほうの音が加えられていって、下がりきると引き出されている
ドローバー全ての音が鳴っているわけです。
河合さんの説明ではギターのストロークを例に出しておられましたが、
つまりはギターの弦を音の高いほうからジャラ〜ンと弾くのに
似ています。鍵盤が下がる過程で一度にポンと音が出るのではなく
ジャラ〜ンと出るのです。そしてそのジャラ〜ンの具合を
鍵盤を押し下げるスピードでコントロールできるわけです。
スピーディーに鍵盤を押すとパッと発音して、ゆっくり鍵盤を押すと
ジュワッと発音するのです。
今まで多列接点を持たないオルガンで、割とテンポの速い曲や
ロックやファンク系の曲を演奏しても、そう違和感を感じなかった
のですが、バラードを演奏するとどうしてもハモンドっぽい
音にならないのが不思議でした。
あのハモンド独特の甘〜い発音はこの多列接点であるからこその
音なのではないかと思うようになりました。
多列接点鍵盤を持たないキーボードではこの
鍵盤を押す、放すときのコントロールができないのです。
この点については河合さんもおっしゃってましたが、
多列接点を持つNew B-3かPorta B-3をじっくり試奏してみて
自分に必要不可欠なポイントかどうかを判断するしか
ないと思います。

XK-3の場合、音はB-3をサンプリングしてますのでリアルですが
鍵盤は多列接点ではありません。多列接点システムを組み込むと
重くなり大きくなりお値段も高くなりますので、
可搬性を重視したXK Systemとは求めるところが異なります。
自分が何を重視し、どこまでが許せるラインかというところを
よく考えて購入を検討することになると思います。

●概要

XK System Japanは思った以上に理想的なシステムでした。
コアとなるのは上鍵盤でもありますXK-3ですので、
上で書きました多列接点鍵盤が必要ない場合という条件がつきますが、
他社が発売している二段マニュアルのオルガンと比べてみても
ハモンド性を求める人には購入価値が高そうです。

・可搬性…下鍵盤であるXLK-3の左右上面に二本ずつピンが
 出ていて、それぞれXK-3の左右下面の穴に入るように
 XK-3を上に載せるだけのセッティングです。
 二段マニュアルのオルガンで上下分割して運べるのは
 現在これだけでしょう。一人で運べます。

・操作性…現在発売されている二段マニュアルのオルガンの中で
 一番B-3ライクな操作性が可能です。
 上鍵盤用、下鍵盤用に1セットずつあるドローバーは
 鍵盤左端にあるプリセットキーのA#/Bモードを持っていて、
 演奏中に次のドローバーセッティングを作って待機させておき
 必要なときに即チェンジできます。
 またレスリースピードをコントロールするハーフムーンスイッチも
 装備できます。

・価格…XLK-3とXK-3のお値段を合計しても
 他社の二段鍵盤オルガンより安く買えます。

・音質…他社製品の音源はモデリング音源が多いですが、
 XK-3はサンプリング音源ですのでよりリアルです。
 プリアンプとオーバードライブ回路に真空管が使われています。

以上のように購入意欲をそそる点はたくさんあるのですが、
一つ気になる点は、現時点で25鍵ベースペダルボードのオプションが
用意されていないところです。
フルスケールベースが欲しいという人は極端に少ないでしょうから
作っても採算がとれないし値段も高くなるということだと
思いますが、ローランドではオプションとして用意されてますし、
値段が高くても受注生産でもいいですから選択肢として
残してほしいところです。でも今後出てくる可能性もありますので
欲しい人は鈴木楽器に「作ってください!」と訴えましょう。

●試奏してみて

一番気になっていたのが、XK-3とXLK-3の鍵盤のタッチの違いです。
しかしこれは尋ねてみると、同じものを使って作っているそうで
(考えてみると当然か)、実際に弾いてみても違和感はありません
でした。
次に心配だったのが、少しきゃしゃに見えたスタンドです。
しかしこれも心配無用。少々ハードな弾き方をしてもグラついたり
することはありません。
写真ではスタンドの色はシャンパン色っぽいですが、
発売時にはブラックになるかもしれないとのことでした。
音に関しては、私の持っているコルグのCX-3より断然太くてリアルだと
感じましたが、なんせこちらは122で鳴らしているわけですから
太いのは当然で、正確な比較は無理です。
自由に弾いてくださいとは言われましたが、なんせ心斎橋のど真ん中
で大勢の人が見てますし、レスリーのボリュームも河合さんが
弾かれたままでしたので(音を出すたびにみんなが振り返ります)、
あまりゆっくり弾けずに、色んな機能を試す時間はありませんでしたが
通常の演奏性に何の不満もありませんでした。
特に持ち運びの多い人には是非お勧めしたいですが、
XLK-3の年内製産は100セット限りだそうで、欲しい人は
早く予約しないとなかなか手に入らないかもしれません。

●レスリー122

私がこのイベントで一番欲しくなったのがこの122です(笑)。
河合さんのお話では、この昔のレスリーはいい木が使われていて
その「木」がよく鳴るのだそうです。実際に私も本体に触れて
みましたが、音が出ている時はすごく木枠が振動しているのが
分かります。その他ツインモーターだったり、アンプ回路が
しっかり作られていたり、スピーカーユニットの素材が
良かったりするのだそうで、今ではもちろん中古でしか
てに入りませんが、50Wとは思えない迫力で鳴っていました。
ついでにレスリー周りの写真をいくつか…。

↓これは117V仕様なので変圧器で昇圧されていました。
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↓122は6ピン仕様なので途中に変換器が必要です。
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↓アンプ部です。ボリュームは9にセットされていました。
vol255.jpg

以上が今回のイベントのレポートです。
私個人的には最近多列接点鍵盤が重要に思えてきまして、
心はPorta B-3に傾きつつあります。
レスリー122で鳴らしてみたいと思ってます。
でも122どこに売っているのでしょう(笑)?
やはりカメラの三脚と同じで、楽器も大きく重たくて
扱いにくいもののほうが真っ当なような気がしてきました。
河合さんはライブには122を二本運んでおられるそうです。
とりあえずは筋力トレーニングから始めましょうか(笑)。
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XK EVOLUTIONのペダル鍵盤発売決定 | はもはもブログ | 2005/06/23 02:17 PM
鈴木楽器さんのXK EVOLUTIONページが更新されてます。 キタ━━━━━━